オフセット印刷銘板

オフセット印刷銘板は、多色刷りが比較的容易なため、装飾を目的に使用されることが多い印刷銘板です。立体物への印刷はできませんが、密着性の良いインキを使用することにより、印刷後、曲げ加工やエンボス加工を行うことができます。多色表現が容易で、高精細で美しい仕上がりが特徴ですが、摩擦や溶剤にはあまり強くありません。
製品事例

サンプルNo.MP-010-043
サンプルNo.MP-010-042

サンプルNo.MP-010-040

サンプルNo.MP-010-039
関連製品
オフセット印刷銘板にはさらに関連する下記の製品群があります。
素材
オフセット印刷銘板の素材として、主に下記の素材を使用しています。
金属素材
素材 | 主な素材 | 関連規格 | 地色 | 一般的によく使用されている板厚(mm) | |||||
0.3 | 0.5 | 0.8 | 1.0 | 1.5 | 2.0 | ||||
アルミニウム(AL) | A1050P A1080P A1070P A1100P A1200P A1N30H |
JIS H 4000 JIS H 4160 |
銀色 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
- ※刻印および梨地・ヘアライン仕上げの場合には板厚0.5mm以上をお勧めします。
アルミニウム(AL)素材の表面処理方法として、下記の表面処理をご指定いただけます。
表面処理 | 処理概要 |
梨地仕上げ | 金属表面に機械または化学処理によって微細な凹凸を均一に形成させた艶消し仕上げです。 |
艶消し仕上げ | 苛性ソーダに浸し、表面を荒らしたものです。 |
ヘアライン仕上げ | 連続した細かいすじ模様の仕上げです。ライン方向の指定が必要です。 |
スピン仕上げ | 円形の研磨模様を付けた仕上げです。サーキュラ仕上げとも呼ばれています。 |
光輝仕上げ | 電解研磨又は化学研磨によって光輝感のある面を得る仕上げです。この仕上げ方法に適合する素材に高純度アルミニウム、光輝アルミニウム合金などがあります。 |
サンドブラスト | 圧縮空気又は遠心力などで、砂又は粒状の研磨剤を品物に吹き付けて行う表面加工方法です。 |
ショットブラスト | 圧縮空気又は遠心力などで、ショット、カットワイヤなどを品物に吹き付けて行う表面加工方法です。 |
クリアー塗装 | メラミン樹脂塗料クリアーで表面を保護します。使用環境によりクリアー塗装をしない方がよい場合もあります。 |
樹脂素材
樹脂素材として、主に下記の素材を使用しています。
素材 | 地色 | 一般的によく使用されている板厚(mm) | ||||||
0.125 | 0.18 | 0.188 | 0.25 | 0.3 | 0.5 | 1.0 | ||
ポリエステル(PET) | 透明 | ◯ | - | ◯ | ◯ | - | - | - |
ポリカーボネート(PC) | 透明 | - | ◯ | - | ◯ | ◯ | ◯ | - |
塩化ビニール(PVC) | 透明/白 | - | - | - | - | ◯ | ◯ | ◯ |
樹脂素材の外観仕様として、下記の仕様をご指定いただけます。
外観仕様 | PET | PC | PVC | 処理概要 |
表面ハードコート素材 | ◯ | × | × | ポリエステルの表面に特殊コーティングが施されており、耐擦傷性を持たせた素材です。 |
表面マット素材 | × | ◯ | × | ポリカーボネートの表面がマット形状に加工された素材です。耐擦傷性があり、LED等の光源装置の拡散カバーとしても使用できます。 |
表面シボ素材 | × | ◯ | × | ポリカーボネートの表面がシボ形状に加工された素材です。優れた耐擦傷性があるため、傷つきにくさが要求される表面フィルムに特に適しています。更に、拡散効果も期待でき、LED等の光源装置の拡散カバーとしても使用できます。 |
色
特殊な色でない限り、ご指定いただく事が可能な為、色見本、DIC番号などでご指示ください。
※印刷素材により色調に差が出るため注意が必要です。
保護テープ
保護テープとは、容易に剥がすことのできる粘着剤を塗布した透明フィルムです。製品の加工・輸送・保管時に発生するキズ、汚れ等から製品の表面を保護する役割を果たします。弊社標準品として下記の保護テープ(マスキングテープ)を用意しています。また、下記以外にも多種多様な保護テープをご指定いただけます。下記以外の保護テープをご希望される場合には、別途、弊社営業担当までご相談ください。

Type | 厚み(mm) | 粘着力(N/20mm) | |
ステンレス | アルミニウム | ||
強粘着 | 0.06 | 3.0 | 3.5 |
弱粘着 | 0.06 | 1.3 | 0.6 |
※上記の数値は実測値であり、保証値ではありません。
両面テープ
両面テープとは、表と裏の両方が粘着するようになっている接着テープで、物と物を貼付ける役割を果たします。銘板に両面テープを貼付けることにより、容易に被着体への貼付けが可能です。弊社標準品として下記の両面テープを用意しています。また、下記以外にも多種多様な両面テープをご指定いただけます。下記以外の両面テープをご希望される場合には、別途、弊社営業担当までご相談ください。

Type | 厚み(mm) | 180℃引きはがし粘着力(N/20mm) | 基材 |
強粘着 | 0.17 | 12.5 | 不織布 |
普通粘着 | 0.15 | 12.0 | 不織布 |
※上記の数値は実測値であり、保証値ではありません。
外形仕上げ
オフセット印刷銘板の外形仕上げとして、「トムソンプレス」および「個別切断・R取り・穴あけ」、「プレス」をご指定いただけます。ただし、「トムソンプレス」については、基本的に樹脂素材のみ、ご指定いただけます。(金属素材では、ご指定いただけません)
①トムソンプレス
トムソン刃型を使用して、主に樹脂銘板の外形加工をする方法です。
トムソンプレス加工精度 | |
寸法公差 | ±0.2mm |
抜き位置公差 | ±0.3mm |
②個別切断・R取り・穴あけ
加工方法 | 加工概要 | 加工可能な板厚 | ||
SUS | BS | AL | ||
切断 | 切断機を使用し、外形の切断加工する仕上げ方法です。 | 1.6㎜以下 | 3.2㎜以下 | 4.0㎜以下 |
R取り | 切断後、R形状の金型を使用し、個別にプレス加工する仕上げ方法です。 | 1.0㎜以下 | 1.0㎜以下 | 2.0㎜以下 |
穴あけ | 円形の金型を使用し、個別にプレス加工する仕上げ方法です。 | 1.0㎜以下 | 1.0㎜以下 | 2.0㎜以下 |
加工精度 | |
寸法公差 | ±1.0mm |
抜き位置公差 | ±0.5mm |
【弊社所有R取り金型】
2R | 3R | 4R | 5R | 6R | 8R | 10R | 15R |
【弊社所有円形金型(φ)】
1.4 | 1.6 | 2.0 | 2.2 | 2.3 | 2.5 | 2.8 | 3.0 | 3.2 | 3.3 |
3.5 | 3.8 | 4.0 | 4.2 | 4.5 | 4.8 | 5.0 | 5.2 | 5.5 | 6.0 |
6.2 | 6.5 | 7.0 | 7.5 | 8.0 | 8.2 | 8.5 | 9.0 | 9.5 | 10.0 |
10.5 | 11.0 | 11.5 | 12.0 | 12.5 | 13.0 | 13.5 | 14.0 | 14.5 | 15.0 |
15.5 | 16.0 | 16.5 | 17.0 | 17.5 | 18.0 | 18.5 | 19.0 | 19.5 | 20.0 |
20.5 | 21.0 | 21.5 | 22.0 | 22.5 | 23.0 | 23.5 | 24.0 | 24.5 | 25.0 |
特殊加工
特殊加工 | 概要 |
エンボス加工 | 凹凸の形状をもたせた金型でプレス加工することにより、素材を変形させ、製品に凹凸の形状を作りだします。 |
曲げ加工 | 外形用の金型を使用し、第一プレス加工にて外形加工を施した後、曲げ用の金型を使用し、第二プレス加工で素材を変形させ、製品に曲げの形状を作りだします。 |
オフセット印刷とは?
平版(へいはん)を用い、版に付けられたインキを、一度ゴムブランケットなどの中間転写体に転写した後、被印刷体(素材)に移転させ、画像複製をおこなう印刷です。オフセット印刷の大半が平版(へいはん)を用いて行われていますが、凸版を用いるドライオフセット印刷や、電子写真方式のオンデマンド印刷機にもオフセット方式を用いたものがあります。
オフセット印刷銘板の特性
- ◯シルクスクリーン印刷銘板と比べ、比較的細かい線、文字が表現できます。
- ◯シルクスクリーン印刷銘板同様に量産性に優れています。
製作工程
オフセット印刷銘板は、下記の工程により製作しています。
製版 → 下地ニス塗装 → 乾燥 → 調色 → オフセット印刷 → 乾燥 → 透明の上塗り塗装 → 乾燥 → (保護テープ仕上げ) → (両面テープ仕上げ) → 外形仕上げ
樹脂素材
- ポリエステル(PET)
- 強度、剛性、耐熱性、耐クリープ性、ブロー成形性の良さから、PETボトルとして大量に使用されています。正式名は「ポリエチレンテレフタレート」です。東レ株式会社製タフトップは、ポリエステルの表面に耐スクラッチ性を持たせたフィルムで、キーシートなどの操作部に使用されています。代表的な商品としては、東レ株式会社製タフトップやルミラーがあり、主に0.1mm、0.125mm、0.188mm、0.25mmの板厚が利用されています。
- 【主な商品名】
- タフトップ100L-B2T0、125L-B2T0、188L-B2T0など
- ポリカーボネート(PC)
- 代表的なエンジニアリングプラスチックであり、強靱で透明性、耐熱性、寸法安定性、難燃性、絶縁性などに優れ、特に衝撃強度は熱可塑性樹脂でも最高に近い値を示します。耐化学薬品性、耐溶剤性に弱点があります。代表的な商品としては、エスピー・パシフィック株式会社製レキサンフィルムや三菱ガス化学株式会社製ユーピロンフィルムがあり、主に0.18mm、0.25mm、 0.3mm、0.5mmの板厚が利用されています。
- 【主な商品名】
- レキサン8010、8A13など
- 塩化ビニール(PVC)
- 空気、湿気を通しにくく、耐水、耐酸、耐アルカリ、耐溶剤性に優れています。難燃性で、光や熱に安定ではありませんが耐候性はかなりよいです。焼却処分時のダイオキシン発生が問題視されています。主に0.3mm、0.5mm、1.0mmの板厚が利用されています。
- ABS
- アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの3成分からなる耐衝撃性樹脂で、これらの3成分の頭文字をとってABS樹脂と呼ばれています。特徴は、広い温度範囲にわたって秀れた耐衝撃強度、引張り強さ、剛性、耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れています。用途としては、家庭電話部品・自動車部品、一般機器ハウジング等に使用されています。
- アクリル
- 透明度が高く、表面硬度もかなり高いため耐衝撃用有機ガラスとして利用されています。耐候性は良く、コストも比較的安いです。100℃程度の熱を加えることにより軟化するため、自由に変形が可能な加工性がある反面、耐熱性が低く、強アルカリや有機溶剤には侵されてしまいます。
- ※記載されている商品名、会社名などの固有名詞は各社の商標または登録商標です。
- ※樹脂素材の規格として、一部製品に限定されますが、UL 94 / UL 746Bを取得しているものもあります。
設計上の注意点
- ◯立体物への印刷はできません。
- ◯耐候性はあまり良くないため、屋内仕様の製品に選定することをお勧めします。
- ◯一色ごとにオフセット版が必要なため色数が多いと割高です。
- ◯RoHS規制等環境対応に関しては、「金属・樹脂銘板」ページをご覧ください。
価格
オフセット印刷銘板の価格については、弊社営業担当者までお問合せください。
納期
- 新規発注品(金型製作なし)
- 版下校正完了後または支給データ確認後、1ヶ月にて承っています。
- 新規発注品(金型製作あり)
- 版下校正完了後または支給データ確認後、2ヶ月にて承っています。
- 再発注品
- 1ヶ月にて承っています。
- ※大量ロットでご注文いただいた場合には上記納期が変わる場合があります。
- ※特急対応については、別途、弊社営業担当までご相談ください。