TOM成形品

TOM成形品

TOM(Three dimension Overlay Method)成形品とは、さまざまな形状の基材の表面に、特殊なフィルムを貼り合せることで、意匠性及び機能性を高めた製品です。基材の材質を選ばない、触感も含めた豊かな表現や様々な機能の付加が可能、製造工程において環境への負荷が少ない、といった利点があります。そのため、高い意匠性と機能性が求められる自動車の内装品に多用されています。

製品事例

サンプルNo.el-000-290

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サンプルNo.el-000-291

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サンプルNo.el-000-292

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サンプルNo.el-000-296

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サンプルNo.el-000-297

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TOM成形の製法

TOM成形品は、真空・圧空成形という製法を用いて、基材にフィルムを貼り合せています。真空・圧空成形は、気圧を利用して型もしくは基材にフィルムを密着させることにより、型もしくは基材の形状にフィルムを成形します。

真空・圧空成型(TOM成形)と真空成形の違い

製法名 特長
真空・圧空成形
(TOM成形)
フィルムを加熱し軟化させた後、下のボックスを真空状態にした上で、さらに上のボックスを圧空し、型もしくは基材を突き上げます。上下ボックスの圧力差を利用し、型もしくは基材の形状にフィルムを成形します。大気圧のみを利用する真空成型に比べ、さらに圧空までしている真空・圧空成形は、より凹凸のある形状にも対応が可能となっています。
真空成形 真空・圧空成形と同じく、加熱によってフィルムを軟化させた後、下のボックスを真空状態にしますが、上のボックスの圧空はしません。大気圧によりフィルムが型もしくは基材に密着するのを利用して、フィルムを成形します。

※上記の解説はあくまで概要です。詳細については、別途弊社営業までお問合せください。

TOM成形の工程

  • ①基材とフィルムを装置にセットします。
  • ②装置を密閉状態にし、フィルムを熱して軟化させます。また、下のボックスを減圧し、真空状態にします。
  • ③基材を突き上げ、同時に上のボックスに加圧し、フィルムを基材を密着させます。
  • ④型から基材を取り外し、余分なフィルムをトリミングします。

フィルム

TOM成形はフィルムをそのまま貼り付けるので、フィルムの触感や質感をそのまま反映されることができます。また、防水や防汚、耐薬品などの性能を持ったフィルムを使用することにより、TOM成形品にもその機能を付加することができます。

フィルム例 フィルム外観 光透過性※1 備考
タイガーアイ film01 no image※2 虎目石をモチーフとした、意匠性が高いフィルムです。模様に合わせて表面に凹凸があり手触りも非常にいいため、自動車の内装に使用されています。追従性が高く、複雑な形状の基材に対しても高い密着性を誇ります。
メタル film02 no image※2 「タイガーアイ」フィルムと同じく、意匠性や追従性が高いフィルムです。カーボン調のデザインをしており、表面に凹凸があります。こちらも自動車の内装に使用されています。
光透過性シルバー film03 film03 鏡面のように光を反射する金属調のフィルムでありながら、光を透過する機能を持ったフィルムです。そのため、フィルムの後ろから当てる光の波長を変化させることで、多彩な表現が可能です。
光透過性ヘアライン film04 film04 「光透過性シルバー」フィルムと同じく、光を透過する機能を持っています。ヘアライン模様が入っているため、「光透過性シルバー」フィルムと比較して、落ち着いたデザインとなっております。
印刷可能フィルム no image※3 no image※3 シルクスクリーン印刷にてご指定の模様を付与する透明なフィルムです。透明なフィルムのため、裏面の黒押さえを調整することにより、文字や絵柄を浮き出すように光を透過することもできます。

※1 フィルムの裏面にスマートフォンのライトを当てて撮影した画像となります。
※2 光を透過する機能がないフィルムのため、裏面からライトを当てても変化はありません。
※3 お客様のご指定の模様で製作するフィルムです。模様によっては製作できない場合がございますので、ご了承ください。
※上記フィルムについて、生産停止及び在庫切れの場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※上記以外のフィルムについては、別途弊社営業までお問合せください。
※上記の表の「光透過性」の画像では、フィルムの裏面からスマートフォンによるライトを当てています。

その他の表面加飾製法

その他の加飾製法の適正・特長と比較すると以下のようになります。

主な表面加飾製法の概要

製法名 特長
TOM成形 真空成形を応用し、基材の表面にフィルムを貼り合せる製法です。どのような材質の基材にも高い追従性を誇ります。また、表面の凹凸を含めた手触り感(表面テクスチャ)を付与できます。
インモールド成形
(IMR)
射出成形の凹型の金型をフィルムで覆い、型とフィルムに挟まれた空間を真空状態にすることで、フィルムを金型に密着させます。その上で、凹型になったフィルムに樹脂を充填し、基材とフィルムを一体化する製法です。また、フィルムを剥がして絵柄だけを転写する場合もあります。
インサート成形
(IMF)
既に成形されたフィルムを金型に挿し入れ、樹脂を充填することでフィルムと一体化させる製法です。
水圧転写 水面に絵柄が印刷されたフィルムを浮かべ、そこに基材を沈めることにより、水圧で基材にフィルムを貼り合せる製法です。
ホットスタンプ 加熱したローラーや版でフィルムを基材に密着させることで、フィルムの絵柄を基材に転写させる製法です。
メッキ加工 金属イオンを溶かしたメッキ槽に基材を浸し通電させることで、基材の表面に金属の薄膜を形成する製法です。基材に防錆性を持たせたり、高級感を持たせたりする目的で利用されます。金属の種類によってはメッキの密着性が低かったり、導電性のない基材には導電処理を施す必要があります。
塗装加工 防水性や防錆性など基材の保護、質感などの意匠性、撥水や遮熱などの機能性などを目的として、基材の表面の塗料の被膜を作る製法です。ポリエチレンなど一部の素材には塗料が密着しないため、塗装できないという欠点があります。

主な表面加飾製法の比較

加飾製法 TOM成形 インモールド インサート 水圧転写 ホットスタンプ メッキ加工 塗装加工
基材表面の保護※1 × × ×
素材※2 金属
樹脂
意匠性※3 艶出し ×
艶消し ×
グラデーション ×
表面テクスチャ※4 × × × × × ×
機能性※5 追従性※6
電波透過性 × × ×
可視光透過性 × × ×
量産性※7 少量 ×
大量
  • ※1 表面の保護は、その製法のみを行った場合において、「〇:保護可,×:保護不可(要追加加工)」で評価しています。
  • ※2 素材は、その素材への密着性について、「〇:選択可,△:各種条件・制限により選択可,×:不適」で評価しています。
  • ※3 意匠性は、表現可能な表現について、「〇:選択可,△:各種条件・制限により選択可,×:選択不可」で評価しています。
  • ※4 表面テクスチャとは、表面の凹凸を含めた手触り感のことを指します。
  • ※5 機能性は、その機能の付与の可否について、「〇:付与可,×:付与不可」で評価しています。
  • ※6 追従性とは、適した素材にその製法を行った場合における、表面加飾の基材への密着性のことを指します。
  • ※7 量産性は、「〇:適す,×:不適」で評価しています。

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