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シール/ラベル/ステッカー基礎知識

シール/ラベル/ステッカーは、粘着紙(粘着剤付きの紙)や粘着フィルム(粘着剤付きのフィルム)に印刷・加工した製品です。

製法

当社では、シール/ラベル/ステッカーを主に下記の製法により製作しています。

平圧印刷

文字のみのデザインなどシンプルな印刷に適しており、少量の場合には比較的安価に印刷出来ます。

平圧印刷機

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輪転印刷

印刷精度に優れ、グラデーションや広い面積の印刷に適しています。また、生産性に優れる為、大量の場合には比較的安価に印刷出来ます。

輪転印刷機

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シルクスクリーン印刷

比較的高価となるものの、対候性に優れています。また、大きなサイズも印刷可能です。

シルクスクリーン印刷機

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デジタル印刷

印刷版不要で、多品種小ロット印刷や一点一様の可変情報印刷に適しています。

デジタル印刷機

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それぞれの製法の適正・特徴をまとめると下記のようになります。

製法 シール印刷 シルク
印刷
デジタル印刷
平圧
印刷
輪転
印刷
インク
ジェット
カラー
レーザー
熱転写 モノクロ
レーザー
素材形状 ロール ロール シート ロール シート ロール ロール
主な素材※1 上質紙 - ×
アート紙 - × ×
ミラーコート紙 - × ×
ポリエステル(PET)
合成紙(ユポ) ×
塩化ビニール(PVC) × ×
ラミネート加工 同時加工 同時加工
または
別加工
別加工 別加工 別加工 別加工 別加工
主なラミネート材※2 PET透明16μ ◯※3
PET#25(艶あり)
PET#25(艶消し)
抜き加工 同時加工 同時加工
または
別加工
別加工 別加工 別加工 別加工 別加工
最大サイズ※4 75mm 150mm 600mm 150mm 180mm 81mm 145mm
220mm 230mm 800mm 280mm 260mm 216mm 215mm
印刷※5 フルカラー × × △※6 △※6
グラデーション × × △※6 △※6
可変情報印刷※7 × × ×
可変情報印刷色 - - - 限定なし 限定なし
量産性※8 少量 × × × × ×
大量 × × × × ×
少量多品種 × × × -
標準納期 3週間 3週間 1ヶ月 1ヶ月 2週間 1ヶ月 1ヶ月
  • ※1 主な素材は、「〇:選択可,△:各種条件・制限により選択可,×:選択不可,-:不適」で評価しています。
  • ※2 主なラミネート材は、「〇:選択可,×:選択不可」で評価しています。
  • ※3 ただし、素材が上質紙の場合には、選択出来ません。
  • ※4 上記サイズより大きなサイズをご希望される場合には、別途、ご相談ください。
  • ※5 印刷は、「〇:可,△:各種条件・制限により選択可,×:不可」で評価しています。
  • ※6 輪転印刷との組合せ(輪転印刷後、熱転写プリント)により製作出来ます。
  • ※7 可変情報印刷は、「〇:選択可,△:各種条件・制限により選択可,×:選択不可」で評価しています。
  • ※8 量産性は、「〇:適す,×:不適」で評価しています。

素材

構成

シール/ラベル/ステッカーの素材(粘着紙・粘着フィルム)は、表面基材、粘着剤、剥離材(セパレータ)の三層から構成されています。

表面基材

粘着紙・粘着フィルムの主な表面基材として下記のような表面基材があります。紙系は安価ですが耐久性があまりありません。一方、フィルム系は紙系よりは高価になりますが、耐久性に優れているものが多くあります。

主な表面基材 特徴



上質紙 上質紙は、比較的安価な素材ですが、素材表面が荒く印刷の仕上がりはあまり良くありません。上質紙<55>は薄手のタイプ、上質紙<70>は中間のタイプ、上質紙<90>は厚手のタイプです。また、あらかじめ着色された色上質紙もあります。
アート紙 アート紙は、紙の表面を顔料で目止めし印刷の仕上がりを良くしたものです。上質紙とくらべ若干光沢があります。
ミラーコート紙 ミラーコート紙は、紙の表面を目止めしスーパーカレンダーにて鏡面仕上げをしたもので、アート紙と比べてもより光沢があります。キャストコート紙やグロスと呼ばれることもあります。






ポリエステル(PET) ポリエステル(PET)は、様々な耐候性、耐水性に優れていることから主に工業向けに多用されています。白色タイプのほか透明タイプやアルミ蒸着タイプ(金色・銀色、ツヤあり・ツヤなし)、発泡タイプなどがあります。また、フィルム厚は、主に25μと50μが使用されています。
合成紙(ユポ) 合成紙(ユポ)は、プラスチックを主原料にしたもので、紙の特性である白さ、不透明度、印刷適正とプラスチックの特性を併せ持っています。フィルム素材としては、比較的安価な素材です。
塩化ビニール(PVC) 塩化ビニール(塩ビ)は、耐候性、耐水性に優れ、屋外で使用されるステッカー用途に適しています。
その他特殊素材 上記以外にもさまざまな用途や環境での使用を考慮して作られた素材があります。
  • ※紙基材は厚さを55kg、70 kgなど連量で表します。
  • ※連量とは四六全判(788mm×1,091mm)の大きさの紙を1,000枚積み重ねたときの重さのことを言います。

粘着剤

粘着剤にもさまざまな種類があり、機能によって大きく下記のように分類されます。

タイプ 特徴
永久接着(強粘着)タイプ 恒久的に貼付する用途に適しています。
再剥離(弱粘着)タイプ 一定期間後にはがす用途に適しています。
再貼付タイプ 一度はがしたラベルを再度貼付する用途に適しています。

代表的な粘着剤には下記のようなものがあります。

基材 機能 主成分 接着材名 特徴・用途

永久粘着タイプ アクリル系 超強粘着 汎用超強粘着タイプ
強粘着 汎用強粘着タイプ
冷凍用 冷凍食品用強粘着タイプ
訂正用 隠蔽性に優れた訂正貼り用
ゴム系 粗面用 砥石などの粗面用
再剥離タイプ アクリル系 再剥離用 汎用再剥離タイプ
繊維用 繊維用再剥離タイプ
再貼付タイプ 特殊アクリル系 再貼付用 再貼付可能タイプ




永久粘着タイプ アクリル系 超強粘着 汎用超強粘着タイプ
強粘着 汎用強粘着タイプ
ラミ用強粘着 透明性、フロー性に優れたラミネート用
冷凍用 低温貼付適性、耐熱性に優れた冷凍用
ゴム系 タイヤ用 タイヤ用
再貼付タイプ 特殊アクリル系 再貼付用 再貼付可能タイプ

代表的な表面基材と粘着剤の組合せ

表面基材 粘着剤 RoHS対応 UL対応



上質紙 強粘着 -
超強粘着 -
アート紙 強粘着 -
超強粘着 -
ミラーコート紙 強粘着 -
超強粘着 -






ポリエステル(PET) 白PET50μ 超強粘着
発泡PET50μ 強粘着
PET消銀50μ 超強粘着
PET透明50μ 超強粘着
合成紙 ユポ80μ 超強粘着
塩化ビニール(PVC) 塩ビ白80μ 超強粘着 -

剥離材(セパレータ)

【剥離剤(セパレータ)の種類】
剥離材(セパレータ)は、主に下記のような種類があり、ラベルの用途によって適性が異なります。
タイプ 特徴 主な色
クラフト紙系 厚みがありしっかりしているのでカールがしにくく、手貼り用ラベル、シート仕上げに適しています。一方で光を透過させにくいので透過センサーのラベルプリンタには使用できません。 黄、アイボリー、白
グラシン紙系 薄手で堅さがあるので自動貼り用ラベル、ロール仕上げに適しています。また、光を透過しやすいので透過センサーのラベルプリンタへの使用に適しています。カールしやすいため、シート仕上げには不向きです。 青、白
フィルム系 表面の平滑性が高く、ラミネート素材のセパレーターによく使用されます。また、紙素材ではないため、紙粉が出ることがなく、クリーンルーム内に使用するラベルにも適しているほか、見栄えが良いため、キャラクターシールにも使用されています。 透明

ラミネート加工

ラミネート加工とは、シール/ラベル/ステッカーの表面に透明のフィルムを貼る処理の事です。ラミネート加工により表面保護(擦れ・色落ち防止)や艶、耐水性、高級感の向上などの効果があります。また、特殊ラミネートフィルムを使用することにより、マット感やシボ感を与えたり、紫外線をカットして印刷の退色を抑えることも出来ます。

主なラミネート材 特徴
PET透明 16μ 一般的。安価。
PET透明 25μ(艶有り) 上記に比べやや厚手のタイプ。
PET透明 25μ(艶消し) 上記の艶無し仕様。
ラミ

形状

シール/ラベル/ステッカーの形状としては、四角形角なし、四角形角R付き、円形、楕円形が多く使用されています。四角形では、剥がれ防止の為、若干の角Rをつける場合が多く、Rが小さいとシャープなイメージになり、Rが大きいとやわらかなイメージになります。
図面やラフスケッチなどで形状をご指定いただくことにより特殊な形状も製作させていただきます。

シール/ラベル/ステッカーの形状
角R大イメージ

【角R大イメージ】

角R小イメージ

【角R小イメージ】

特殊形状の例

【特殊形状の例】

包装形態

シール/ラベル/ステッカーの包装形態には、ロール仕上げ、シート仕上げ、折り仕上げがあり、その内、ロール仕上げがもっとも安価となるため、良く使用されています。

ロール仕上げ

【ロール仕上げ】

シート仕上げ

【シート仕上げ】

折り仕上げ

【折り仕上げ】


【ロール仕上げ詳細仕様】

  •  1)内巻・外巻・シール/ラベル/ステッカーの向きのご指定があればお申し付けください。組み合わせには以下の種類があります。
  • 外巻尻出 【外巻尻出】
    内巻尻出 【内巻尻出】
    外巻頭出 【外巻頭出】
    内巻頭出 【内巻頭出】
    外巻右出 【外巻右出】
    内巻右出 【内巻右出】
    外巻左出 【外巻左出】
    内巻左出 【内巻左出】
  •  2)列のご指定があればお申し付けください。
  •  3)紙管サイズ(内径)をご選択ください。
    紙管サイズは一般的に1インチ(25.4mm)または3インチ(76.2mm)が使用されています。その他特殊サイズについては別途ご相談ください。
  •  4)一巻ごとの巻数をご指定ください。
ロールの直径早見表
基材 紙管 長さ
10m 20m 30m 40m 50m 75m 100m
上質紙<55> 1インチ 52mm 69mm 87mm 99mm 109mm 132mm 151mm
3インチ 89mm 100mm 116mm 125mm 133mm 152mm 169mm
上質紙<70> 1インチ 59mm 80mm 91mm 104mm 115mm 139mm 159mm
3インチ 93mm 107mm 119mm 129mm 138mm 158mm 177mm
アート紙 1インチ 51mm 67mm 83mm 93mm 103mm 124mm 142mm
3インチ 88mm 99mm 112mm 121mm 128mm 146mm 161mm
ミラーコート紙 1インチ 52mm 69mm 87mm 99mm 109mm 132mm 151mm
3インチ 89mm 100mm 116mm 125mm 133mm 152mm 169mm
PET25μ 1インチ 47mm 61mm 73mm 83mm 92mm 111mm 127mm
3インチ 86mm 95mm 102mm 110mm 116mm 132mm 146mm
PET50μ 1インチ 51mm 67mm 80mm 92mm 101mm 123mm 141mm
3インチ 88mm 99mm 108mm 116mm 124mm 142mm 158mm

屋外耐候性

シール/ラベル/ステッカーの屋外耐候性については、「シール/ラベル/ステッカー屋外製法別耐候性比較」ページをご覧ください。

製作の流れ

一般的なシール/ラベル/ステッカーの製作の流れは、下記の通りです。


①製品仕様打合せ
シール/ラベル/ステッカーは、使用環境や使用目的、製作数量等により、適した製法、素材が異なり、その選択には十分な検討が必要となります。 シール/ラベル/ステッカーのご選定についてはお気軽に弊社営業担当までご相談ください。その際には、下記の点についてお知らせください。
  • (1)用途
  • (2)使用環境
  • (3)使用期間
  • (4)使用予定数量
  • (5)現状の製品仕様
  • (6)現状の問題点
  • (7)その他、ご要望事項
  • ※東京および名古屋近郊のお客様は、必要に応じてお打合せにお伺いさせていただきます。
  • ※東京および名古屋近郊以外のお客様は、基本的に電話およびメールでの対応となります。

②製品仕様・価格のご確認
上記打合せ後、弊社から推奨製品仕様および製品価格を提示させていただきます。

③ご発注
製品仕様および製品価格にご納得いただけましたら、ご発注ください。

④版下原稿作成
版下原稿とは、製版して印刷するための元になるものです。

⑤製作
製作期間は、銘板の製品種別、製品仕様、数量、弊社繁忙状況等によってかわりますが、概ね2週間~2ヶ月程度です。ご希望納期をお知らせいただければ、極力、調整いたします。

⑥お届け
基本的に宅配便によりお届けさせていただきます。
  • ※東京および名古屋近郊のお客様は、必要に応じて納品にお伺いさせていただきます。
  • ※東京および名古屋近郊以外のお客様は、基本的に宅配便での納品となります。

環境対応

【有害物質調査手順】

近年、RoHS規制、JAMA、JAMP(chemSHERPA)等環境対応に関する調査依頼が増加する傾向にあります。弊社においては、いち早く、ご要望に対応するため、下記手順において環境調査を行っております。

  •  1)ご要望いただいた製品の使われている材質等の調査分類。
  •  2)対象製品の材質の購入先調査。
  •  3)購入先に対して、調査対象物質の含有の有無、必要な場合は含有量の調査依頼。
  •  4)含有有無の回答、必要な場合は含有量をサイズ、重量より算出。

【調査対応規制/規格】

  •  ・RoHS規制
  •  ・JAMA
  •  ・JAMP(chemSHERPA)
  •  ・IMDS
  •  ・REACH規制(SVHC)

【有害物質調査ご依頼時の注意点】

有害物質等調査いただく際には下記事項にご留意願います。

  •  1)調査対象製品をご指定願います。
    使用材質等がわかるもの(図面等)があればより敏速な対応が可能です。
  •  2)調査対象物質をご指定願います。
    調査対象物質が多いほど、より調査に多くの時間が必要となります。
  •  3)調査対象範囲をご指定願います。(含有有無のみもしくは含有量まで)
    含有量調査を含める場合はより多くの時間が必要となる場合があります。また企業秘密等の理由から、含有量が○○以下とまでしか公表できない場合もあります。
  •  4)その他必要な添付書類を指定願います。(技術資料、MSDS等)

関連技術情報

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